任意整理とは
任意整理とは、まだ自己破産をするほどの状況ではないが、このままでは自転車操業になってしまうような場合に最適な債務整理方法となります。
一般的には「裁判所などの公的機関を利用せずに、私的に直接サラ金業者やクレジット会社などと和解交渉をして債務整理をすること」と定義されています。
これを簡単に言うと、「このままでは自己破産しなければならない状況に陥ってしまうので、法律で認められた利率(約18%)で、今までの取引を計算し直し、債務額を確定し、さらに、これからの利息(将来利息)を全てカットした上で、3~5年間(36~60回)の分割弁済にする和解契約を締結する」手続きということになります。
この手続きの特徴は、弁護士・(認定)司法書士のみが行うことができる手続きであるということです。もちろん和解交渉自体が本人ができないかと言えば、可能でしょう。但し、本人や親族による交渉では、各債権者は取引経過を明らかにせず、取り立ても止まらないのが現状です。結果として、サラ金・クレジット業者のいいなりの和解が締結されてしまうこともあります。
任意整理において、弁護士・(認定)司法書士に依頼し、手続きが開始され「受任通知(債務整理の依頼を受けたという通知)」という書類が債権者の下に届くと、法律上、すぐに借金の返済がストップし、取立ても止まることになります。
任意整理を弁護士・(認定)司法書士のみが行うことができるというのは、「受任通知」という「水戸黄門の印籠」のような権利を弁護士・(認定)司法書士のみが与えられているからなのです。そして、借金に追われることのない精神的に落ち着いた状況で、これからの生活のあり方や、返済計画を立てていけばよいのです。
さらに、任意整理の特徴として重要なのは、本人がどこかに出向いたり、誰かと交渉したり、書類を用意したりする必要が全く無いということです。つまり、依頼をした後は弁護士・(認定)司法書士が全ての手続きを代理して行うことになります。そのため、弁護士・(認定)司法書士との信頼関係はより重要になってきます。
【任意整理のメリット】 |
- 任意整理を弁護士・司法書士に依頼した場合、法律上、すぐに返済の必要がなくなり、取立てもなくなる。
- 利息制限法で定められた約18%の利率で、取引当初から計算し直すため、債務額が減額される可能性がある。
- 将来利息(今後支払わなければならなかった利息)は免除される。
- 「任意整理」する債権者を選択することができる。(「任意整理」したくない債権者はそのまま支払い続ける。)
- 手続きを全て弁護士・(認定)司法書士が行うため、時間的な拘束を受けず、生活に支障が無い。
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【任意整理のデメリット】 |
- ブラックリストに載り、5年~7年、借り入れやローンが組みにくくなり、カードが作れない。
- 引き直し後の元本を減額することは(一括弁済を除き)、個人民事再生と異なり、通常できない
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【任意整理の手続きと流れ】 |
1.事務所へ任意整理の相談に来所
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2.任意整理の手続きを依頼(即日)
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3.各債権者へ受任通知発送・取引履歴の開示請求(1~2ヶ月)
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4.利息制限法の利率(約18%)への引き直し計算・債務額確定
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5.過払いが出ている場合・債権者へ過払い請求→過払金回収(1~3ヶ月)
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6.各債権者に対し弁済計画案(和解案)を提示
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7.各債権者との和解交渉(1ヶ月)
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8.各債権者と和解締結・和解書作成
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9.本人に弁済計画表・和解書を交付し終了 |
【任意整理Q&A】 |
●どんな人でも「任意整理」をすることができるのですか? |
できないことはありませんが、不可能な返済計画を立てることはできないため、無職で全く収入がない方や3~5年でも分割弁済が困難な場合は、「民事再生」や「自己破産」をすることをお勧めします。返済計画どおりの返済が不可能になった段階で、「民事再生」か「自己破産」に移行しなければならないため、二度手間になる可能性があるからです。 |
●「任意整理」の交渉は誰にでもできますか? |
本人が私的に交渉することはもちろんできますし、親族や知人に話を代わりにしてもらうこと自体は問題ないでしょう。但し、本人や親族などが交渉する場合は、各債権者は強硬な態度で臨んでくるでしょうし、法律的知識に差があるために、債権者に有利な形での示談をさせられてしまうので、注意が必要です。さらにこの和解交渉を業務としてできるのは、法律上、弁護士・(認定)司法書士に限られていますので、その他の方に話しを持ってこられても、一切関与しないようにご注意下さい。 |
●「任意整理」すると必ず借金が減るのですか? |
これには誤解があります。まず減額が可能であるのは、利息を約18%以上取っている債権者に限られます。具体的には大手消費者金融や信販会社のキャッシングがこれにあ たります。では、約18%を超えない利息を取っている債権者には「任意整理」は意味をなさないのでしょうか?答えはNOです。「任意整理」のメリットの1つとして将来 利息のカットがあげられます。実はこの将来利息のカットが「任意整理」の最大のメリットであると考えられています。例えば18%の利息で100万円の借り入れをしてる場合、1年間に支払わなければいけない利息は単純に計算すると、18万円にもなるのです。
これを全てカットすることができるのですから、やはり「任意整理」をする価値はあるのです。 |
●「任意整理」をするとどれぐらい減額できますか? |
任意整理で借金が減額されるのは、取引当初から利息制限法の利率(約18%)に計算し直すことによって減額されると説明しました。これから考えると、取引期間が長ければ長いほど、借金の額が減額されることになります。1つの目安(大手サラ金業者の場合)としては、2~3年取引があれば、約2割ほどの減額が見込めますし、5~7年の取引があれば、約5割ほどの減額。そして10年を超える取引期間がある場合には、借金がゼロに、もしくは過払金が発生している可能性もあります。(1つの目安であることにご注意下さい。) |
●本人が「任意整理」すれば同じように保証人の支払義務も減額されますか? |
任意整理の手続きによって、借金の額が減額したとしても、保証人には影響をしません。つまり、保証人の責任は変わらず、債権者は保証人に請求してくることになります。ですので、保証人がいる場合は、事前にしっかりと説明し、場合によっては一緒に「任意整理」またはその他の債務整理の手続きをとることも考えなければいけません。 |
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債務整理のその他の処理は以下をご覧ください。
>>個人再生の説明はこちら→
>>自己破産の説明はこちら→
>>過払金返還請求の説明はこちら→
砂川知明