相続の基礎知識
「親が亡くなったけど、相続に関して知識がないから何から始めたらよいか分からない・・・」 という方はとても多いのではないでしょうか。
相続とは、人が死亡した場合に、その人(被相続人)がもっていた一切の財産を、相続人が引継ぐことです。
相続は誰にでも発生する問題ですが、相続に関する知識がなく、実際に相続が発生してから慌てて調べるという方が多いのも事実です。
その様な方でも相続について理解できるよう、ここでは相続の基礎知識についてご説明いたします。
相続が発生したら
相続とは亡くなった方(被相続人)の財産(土地・建物、預貯金、その他)や、権利義務(債権など)を、相続人に引き継ぐことを言います。
相続は、「誰が相続する権利があるのか」、「いつまでに手続きをしなくてはいけないのか」が法律(民法)で明確に決められています。
相続では遺産分割に関するトラブルが多く生じます。
他の相続人をないがしろにして、身勝手な遺産分割を進めようとしても、ほとんどの場合、もめごとになってしまうのです。
相続手続きの流れ
遺産相続を進める場合、必ず必要な手続きがあります。
それは戸籍収集や相続関係図の作成、遺産分割協議書などですが、これに不動産(土地・建物)がある場合は、法務局への登記申請が必要になります。
ひとつずつ流れを確認していきましょう。
1.相続人調査
まず、一番はじめにしなくてはいけないのが、この相続人調査です。
「相続人なんて調べなくても知っている」と思われる方もいらっしゃいますが、現実的にこれをしなくては、どんな名義変更も手続きも進められません。ですから、戸籍謄本の収集と相続関係図の作成に取り組む必要があります。
2.相続財産調査
一般的には、相続財産調査というと、不動産(土地・建物)調査、預貯金の調査(各金融機関の残高証明取得)などが大半ですが、株式などの有価証券をお持ちの場合は、相続開始時での評価を出す必要があります。
中でも、預貯金などは、2週間近くかかる場合もありますので、早めに進める必要があります。
3.相続方法の決定
相続方法の決定とは、相続開始(被相続人の死亡)から3ヶ月以内に、財産を相続するか、一部だけ相続するか、もしくは放棄するかを決めることをいいます。
即ち相続方法には、全ての財産を相続する(単純承認)、一部だけ相続する(限定承認)、相続放棄の3通りの方法があります。プラスの財産だけでなく負債がある場合は、相続方法の選択は非常に重要になります。
>>単純承認に関する説明はこちら→
>>限定承認に関する説明はこちら→
>>相続放棄に関する説明はこちら→
一部だけ相続する(限定承認)場合や相続放棄する場合は、家庭裁判所に申述しなければいけません。また一部だけ相続する(限定承認)場合はそれに加え、相続人全員の同意が必要となります。
4.遺産分割協議
相続人調査が終わり、財産調査も終わって財産目録なども作成できたら、遺産分割協議です。
相続における遺産分割は協議分割(話し合い)が前提となっていますので、相続人全員で協議する必要があります。
ここで、遺産の分割方法がまとまれば、遺産分割協議書を作成する流れとなります。
5.財産の名義変更
遺産分割協議書がまとまったならば、財産の名義変更に着手です。
名義変更も大変な手続きですが、不動産の場合は、法務局に所有権移転の登記申請をしなくてはいけません。
また、預貯金の場合も各金融機関で申請してから、実際に名義変更が完了するまでに1ヶ月くらい掛かります。
どちらも大変な手続きですが、砂川司法書士事務所では総合的なサポートが可能ですので、一度ご相談下さい。
相続(単純承認と限定承認)
単純承認とは
単純承認とは、相続財産と債務を無条件・無制限に全て引き継ぐ方法です。
相続開始を知った時から3ヶ月以内(熟慮期間とも言います。)に相続放棄または限定承認の手続きをとらない場合、自動的に単純承認となります。
また、この他に下記の場合には単純承認したことになります。
- 相続人が、相続財産の全部又は一部を処分したとき
- 相続人が相続開始を知った時から3ヶ月以内に限定承認又は放棄をしなかったとき
- 相続人が、限定承認又は放棄をした後でも、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私的にこれを消費し、又は悪意でこれを財産目録に記載しなかったとき
これらの場合は、相続する意思がたとえなかったとしても、自動的に単純承認になりますので注意しましょう。
限定承認とは
限定承認とは、債務のうち相続財産を超える部分の返済義務を引き継がない方法です。
プラスの財産とマイナスの財産があった場合に、プラスの財産の限度においてマイナスの財産も相続し、それ以上のマイナスの財産を相続しない方法です。
限定承認をする場合は、以下のような手続きが必要となります。
- 相続人全員の総意が必要
- 相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に「限定承認の申述審判申立書」を家庭裁判所に提出
- 限定承認を選択した場合には、不動産などの値上がり益が精算されると考えるため、譲渡益相当額の所得税課税がされる
限定承認が有効なケースとしては、以下のようなものが考えられます。
- 債務が超過しているかどうかはっきりしない場合
- 家業を継いでいくような場合に、相続財産の範囲内であれば債務を引き継いで良いというような場合
- 債権の目途がたってから返済する予定であるような場合
- 債務を加味しても、どうしても相続したい相続財産があるような場合
いずれにしても、相続が発生した早い段階から、相続人の相続財産を調査して、相続しても良いものなのか判断することが重要です。
不動産の所有者が死亡し相続が開始すると、その相続人に所有権が移転します。しかし、その不動産の名義を変えるためには、相続登記の手続きが必要になります。
相続手続の中でも、『相続登記』と呼ばれる不動産名義変更手続は相続人の方がご自身で行うのはなかなか骨が折れ、司法書士に依頼される方がほとんどです。
実際その困難さから、亡くなられた方の名義のまま、固定資産税等の各種税金を払い続けている方も少なくありません。
相続による不動産の名義変更は、その遅滞によって罰則が科せられることはありませんが、
『本来相続人であった者が死亡し、さらに相続人の数が増えてしまった・・・』
そのような状況が発生し、その結果、遺産分割協議が全く進まないということも現実に多々起こっています。
不動産を【相続人中の1人の単独とする場合】等には必ず、相続人全員による【遺産分割協議】が要求されます。
遺産分割協議が整わないままでは、相続した不動産を売却することはおろか、不動産の名義を相続人名義変更することすら出来ません!
『いつでもできる』ということは、決して『遅くなっても大丈夫』ということではありません。
できる限りお早目の名義変更手続をお勧めいたします。
相続登記の流れ
1.お電話によるご予約
【事前の来所予約】とお電話にてご相談内容の概要をお聞かせ願います。
ご相談の際にお持ち頂きたい書類についてはお電話でもお伝えいたしますが、不足書類については、後日ご郵送頂ければ全く問題ありません!
ご相談の際にお持ちいただきたい書類
(揃っていない場合でももちろん相談は可能です。電話の際にお尋ねください)
- 亡くなった方のの死亡の記載がある戸籍
- 亡くなった方の住民票の除票
- 相続人の戸籍
- 土地と建物の権利証
- 固定資産税の納税通知書
2.事務所での面談
お電話でお聞かせ頂きました内容をもとに、ご相談者と直接お話させて頂きます。
この時に名義変更に必要な書類、費用等を確認して頂きます。
※ 【お仕事でお忙しい方の為に、土曜日・日曜日・祝日・夜間の面談にも対応させて頂いております!】
3.相続人の本人確認・意思確認
皆さまの大切な財産である不動産の名義変更手続を行う都合上、直接お会いできなかった相続人の方にご連絡のうえ、ご本人確認と名義変更内容についての意思確認を取らせていただいております。
4.必要書類の収集
【相続登記の必要書類】は、個人で集めることが難しいものもあります。
司法書士が取得代行可能な書類もありますのでご相談ください!
5.遺産分割協議書の作成
収集した書類をもとに、ご依頼内容に沿った遺産分割協議書を作成いたします。
相続人全員の方に署名・実印による押印を頂きます。
6.【法務局】への登記申請・書類の返却
必要書類が揃い次第、司法書士が物件所在地を管轄する法務局に申請を行います。
物件の所在が遠方である場合には郵送申請のため、少々お時間を頂きますので、予めご了承願います。
登記完了次第、新しい権利証、戸籍、印鑑証明書等をご返却いたします。
相続に関するその他の説明は以下をご覧下さい。
>>相続放棄の説明はこちら→
>>遺言の説明はこちら→
>>成年後見の説明はこちら→
砂川知明