相続 よくある質問 「遺言について」

目次

 


Q_30遺言にはどのような種類があるか

 

私の死後の争いを防ぐため遺言をしたいと考えていますが、遺言にはどのような種類のものがありますか。

A_30 遺言には大きく分けて、普通方式と特別方式のものがあります。通常行われる遺言は普通方式であり、これには自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。

「遺言の方式」

縦本入れ_79x100 遺言には厳格な方式が定められており、この方式に従った遺言でなければ遺言としての効力をもたないことになっています。これを遺言の要式性といいます。
遺言が要式行為であるとされる理由は、遺言をする人の真意を確保するためです。すなわち、遺言は、人の最終の意思を述べるものですが、その効力が問題になるのは遺言者が亡くなった後のことですので、そのときには遺言者の真意を確かめることはできません。
そこで、遺言者の真意を確保し、かつ遺言書の偽造や変造を防ぐために、遺言書には厳格な方式が要求されているのです。

「普通方式」
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遺言の方式には大きく分けて、普通方式と特別方式があります。普通方式は通常の場合にすることができる遺言で、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。自筆証書遺言は、遺言者が自筆で遺言の内容の全文と日付と氏名を書いて、押印することにより作成する遺言です。公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言の内容を口頭で述べ、これを公証人が筆記して作成する遺言です。秘密証書遺言は、遺言者が署名押印した遺言書を封印して公証人に提出し、公証人が封紙に提出日付と遺言者の申し述べる住所氏名を書いて作成するものです。

「特別方式」

橙分厚い1冊_125x100 特別方式は、死亡が危急に迫っている場合とか、一般社会と隔絶した場所にいる場合において、普通方式による遺言ができない場合に認められている遺言の方式です。特別方式の遺言としては、危急時の遺言として、一般危急時遺言と難船危急時遺言の2種類があり、隔絶地の遺言として、伝染病隔離者遺言と在船者遺言の2種類があります。
一般危急時遺言は、病気や事故で死に瀕している場合、難船危急時遺言は、船が遭難して沈没しそうな場合の遺言です。伝染病隔離者遺言は、伝染病などのため隔離された場所にいる場合、在船者遺言は、航海中の船に乗っている場合の遺言です。
いずれも便宜的に方式が簡便になっていますが、その反面、特別の事情がなくなり普通方式による遺言ができるようになってから6か月間生存したときは、遺言の効力はなくなることになっています。

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Q_30自筆証書遺言はどのようにつくるか

 

公証人にお願いする事なく、自分で遣言書を作成したいと思います。この場合の作成方法を教えてください。

A_30 自筆証書遺言は、遺言の内容を全文、日付、氏名を自筆で書き、印を押すことによって作成します。

「自筆証書遺言の特徴」
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自筆証書遺言は、遺言者が、遺言書の内容の全文、日付、氏名を自筆で書き、これに押印することにより作成します。公正証書遺言と異なり、公証人に依頼し手数料を支払うという手間はかからず、また証人の立会いも必要ではありませんから、遺言書の作成自体を秘密にしておくことができます。このように自筆証書遺言は簡便に作成できるという特徴を有しています。
しかし反面、自筆証書遺言の方式は厳格に定められていますから、その方式を間違うと遺言が無効になってしまいます。また自筆証書遺言には偽造、変造の危険もあり、死後発見された遺言の効力が問題になることもあります。公正証書遺言は公証人が筆記して作成することから、方式違反あるいは偽造、変造の可能性がほとんどないのと対照的です。

「自筆証書遺言の方式」

5冊建て積み_95x100 (1)自書すること
自筆証書遺言は、遺言の内容の全文、日付、氏名を自書する必要があります。タイプやワープロで記したものや代筆してもらったものは自筆証書にはなりませんし、日付印を押印したものも無効です。
(2)日付
自筆証書遺言には、遺言者が日付を自書しなければならず、日付の書かれていない遺言は無効です。日付を自書することが要求される理由は、遺言の成立時期を明らかにして、遺言する能力があったか否かを明確にすることと、2通以上の矛盾する内容の遺言が発見されたときに有効となる後から作成された遺言をはっきりさせるためです。
(3)氏名、押印
氏名は、氏または名だけでも、遺言者が誰であるかがわかればいいとされています。通称、雅号、芸名の記載でも足りるとされています。押捺する印は、実印でも認め印でも、遺言者が自分の印として押捺すればそれでよいものです。拇印については最近これを有効とする判例が出されましたが、できれば避けた方がいいでしょう。
(4)加除、訂正
遺言を加除、訂正するには一定の方式を守らなければなりません。つまり、①変更した場所に印を押し、②その場所を指示して変更したことを付記し、③付記した後に署名しなければなりません。

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Q_30公正証書遺言はどのようにつくるか

 

私の死後遺言の効力について問題が生じないように、公正証書遺言をつくりたいと思います。どのようにつくるものか、その手続きを教えてください。

A_30 公正証書遺言は、証人2名の立会いのもとで、遺言者が公証人に対して遺言の内容を口頭で述べ、これを公証人が筆記して作成します。原則として公証人役場へ出向いて作成します。

「公正証書遺言の特徴」
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公正証書遺言は、遺言をする者が公証人に対し遺言の内容を口頭で申し述べ、これを公証人が筆記して作成します。公証人は法律的な専門知識を有する者の中から法務大臣が任命するもので、各地の公証人役場で執務しています。
したがって公正証書遺言は、方式違反、偽造、変造により無効となる可能性がほとんどなく、確実な方式であるといえます。しかし反面で、遺言をするには原則として公証人役場に出向かなくてはならず(例外として、病気で動けない場合などは公証人に、出張してもらうこともできます。)、公証人に対し作成手数料を支払う必要があります。また公証人自身は遺言の存在や内容を漏らしてはならないことになっていますが、証人2人以上の立会いを要することから、必ずしも遺言の存在と内容を秘密にすることはできません。

「公正証書遺言の作成手続」
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公正証書遺言は次のような順序で作成します。
①まず、証人2人以上の立会いのもとに、遺言者が遺言の内容を公証人に口頭で述べ、公証人がこれを筆記したうえ、遺言者と証人に読みきかせまたは閲覧させます。
②遺言者と証人が筆記の正確なことを承認したうえで、各自が署名、押印します。遺言者自身が病気などの理由で署名できないときは、公証人がその理由を付記して署名に代えます。
③公証人が、以上の方式により証書が作成されたことを付記して署名押印します。このようにして公正証書遺言が作成されますと、公正証書遺言の原本は公証人役場に保存され、必要に応じて謄本の交付をうけることができます。したがって、遺言が紛失したり、偽造されたり変造されたりすることは、まずありません。

「証人の資格」
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公正証書遺言の作成に立ち会う証人の資格は厳格に決められており、次の人は証人になることはできません。
①未成年者
②推定相続人(遺言者が死亡すると相続人となる者)、受遺者(遺言によって遺贈をうける者)及びこれらの者の配偶者、直系血族
③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および雇入
これらの人が証人になると、その遺言は無効になってしまいます。

「障害者の公正証書遺言」
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平成12年4月施行の民法改正により、口がきけない者、耳が聞こえない者について、公正証書遺言を作成する方法が定められました。すなわち、口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人および証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、または自書することにより公正証書遺言を作成することができます。
また、耳が聞こえない者が公正証書によって遺言をする場合には、公証人は筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者に伝えて、読象きかせに代えることができます。

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Q_30遺言の撤回ができるか

 

一度書いた遺言は撤回ができるのでしょうか。撤回するにはどのようにしたらよいのでしょうか。

A_30 遺言はいつでも、理由の如何を問わず自由に撤回することができます。新しく遺言を作成してその中で前の遺言を撤回すると書く方法のほか、前の遺言が撤回されたものと扱われる場合がいくつかあります。

「遺言の撤回の自由」
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遺言はいつでも自由に撤回することができます。これは、遺言者の最終の意思を尊重するためです。法的にも遺言は、遺言者の生前には何らの効力も生じませんので、自由に撤回することを認めても支障はありません。
撤回するにあたっては、撤回の理由は問いません。気が変わったからということで撤回することもできます。その意味で撤回は、詐欺や強迫を理由とする一般的な取消しとは異なります。従前民法は、遺言の撤回のことを遺言の取消しと規定していましたが、平成16年の改正により、撤回と改められました(民法1022条等)。

「遺言の撤回方法」
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遺言の撤回は、新しく遺言を作成して、そこに前の遺言を撤回すると書くことによって行います。これは、遺言の撤回を明示で行う方法です。
このほか、遺言が撤回されたものとみなされる場合として次のような場合があります。
(1)日付の異なる、内容の相矛盾する遺言が2つ以上あるときは、後の遺言で前の遺言を撤回したものとして扱われます。この場合、遺言の方式の如何は問いませんから、後の日付の自筆証書遺言により、前の日付の公正証書遺言が撤回されたとみなされることもあります。
(2)遺言をした後に、遺言者が遺言の内容と矛盾する処分などをした場合にも、遺言は撤回されたものとして扱われます。例えば、ある物件を遺贈する遺言をした後に、その物件を第三者に売ってしまったような場合です。
(3)遺言者が遺言書を故意に破ったり、焼いたりして破棄した場合にも、遺言は撤回されたものとして扱われます。ただし、公正証書遺言はその原本を公証人役場で保管していますので、遺言者の手元にある正本や謄本を破棄しても、撤回したものとはみなされません。
(4)遺言者が遺言に書いた遺贈の目的となっている物件を破棄したときも、遺言は撤回されたものとして扱われます。

「取消し事由のある遺言の取消し」
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これまで述べた撤回とは別に、特別の理由にもとづく遺言の取消しが認められるかということも問題になります。例えば、詐欺、強迫を理由に遺言の取消しを認めるべきかという問題です。これについては、遺言の撤回は理由の如何を問わず自由にできるから、あえて特別の理由にもとづく取消しを認める実益はないという考え方もあります。しかし、遺言者の死後、その相続人による取消しを認める必要があることから、撤回とは別に詐欺、強迫など、特別の理由にもとづく取消しを認めるのが一般的です。

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Q_30夫婦で共同で遺言書をつくれるか

 

私たち夫婦は老後のことを考え、夫婦で共同して遺言書をつくりたいと思います。共同で遺言書を作っても有効でしょうか。

A_30 たとえ夫婦であっても、同一の証書で遺言することは禁じられています。かかる遺言を共同遺言といい、せっかく遺言しても無効になってしまいます。

「共同遺言の禁止」

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同一の証書で、2人以上の者が遺言をすることを共同遺言といいます。共同遺言が認められる国もあるようですが、わが国の民法はこれを禁止しています。たとえ夫婦であっても共同遺言の禁止に触れます。共同遺言をしても、遺言は全部無効になってしまいます。

「共同遺言禁止の理由」

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共同遺言が禁止される理由は次のように考えられています。
(1)遺言は自由な意思によりなされることが保障されなければならないが、共同遺言は、他の遺言者の意思により制約されて自由な意思にもとづくとは言い難い。
(2)遺言は撤回の自由が保障されていなければならないが、共同遺言では各自が自由に遺言を撤回することができなくなる。
(3)共同遺言でなされた2つ以上の遺言の内容が、相互に関連している場合、一方が失効したときに他方が無効になるのか、それとも引続き効力を有するのかという問題が生ずる。
以上のような理由から、共同遺言は禁止されているものです。
なお、別々の書面に遺言を書いて、それを1つの封筒に入れることは、同一の証書でなされた遺言とはいえませんから、共同遺言にはなりません。
また、同一の書面に2人以上の遺言が書いてあっても、それぞれ全く独立の遺言として切り離せる場合は、共同遺言にならないという考え方があります。しかし、全く独立といえるかどうか、内容的に相互に関連する場合はどうかといった問題をのこすものですから、同一の書面に遺言を書くことは避けた方がいいでしょう。

「遺言の内容が相互に関連する場合」

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2人以上の者の遺言が別個の書面でなされた場合であっても、遺言の内容が相互に関連する場合には、共同遺言の禁止に触れないかという問題があります。
別々の書面でなされた場合には、先に述べた共同遺言の禁止の理由(1)(2)はあてはまりません。遺言成立の自由意思も撤回の自由も、保障されていると考えられるからです。ただ(3)の問題は遺言書は別女であっても遺言の内容が関連している以上、おこり得る問題です。
しかし、共同遺言の禁止には立法論的な批判もありますし、相互に関連性のある遺言をのこす必要があることもあります。別個の書面でなされた遺言にまで共同遺言の禁止の趣旨を広げることは妥当でないでしょう。相互の関連性のゆえに矛盾が出てきたり、その効力に疑問が生じたときに、個別的に遺言の効力を考えれば足りると思われます。

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Q_30遺留分とは何か

 

母が亡くなり財産の全部を長女に贈与するという遺言が見つかりました。相続人には遺留分という権利があるそうですが、これはどういう権利ですか。

A_30 遺留分を侵害された兄弟姉妹以外の相続人は遺留分権利者として遺留分減殺請求権を行使して、財産の一部を取り戻すことができます。遺留分の割合は、子と配偶者が相続人の場合は法定相続分の2分の1です。

「遺留分とは」

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遺留分というのは、兄弟姉妹以外の相続人が相続財産に対して取得することを保証されている一定割合もしくは一定額のことであり、被相続人が他に贈与や遺贈をしても奪われることのないものです。例えば、直系卑属(子や孫のこと)と配偶者(夫または妻のこと)が相続人となる場合、配偶者の相続分は2分の1ですが、その2分の1,つまり4分の1は配偶者の遺留分として保証されているわけです。もし、被相続人が財産を遺贈した結果、配偶者の取得する分が4分の1以下になってしまった場合、配偶者は遺贈をうけた者に対し、一定額の財産の取戻しを請求できるものです。
被相続人は、生前贈与や遺言により自由に財産を処分できますが、その結果遺留分を侵害することになれば、贈与や遺贈をうけた者は、取戻しを覚悟しなければならないことになります。遺留分の制度は、遺留分を有する相続人に侵害されない取得分を保証し、これにより生活の保障、相続に対する期待、公平性を確保するものです。

「遺留分権利者と遺留分の割合」

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遺留分を有する者を遺留分権利者と言います。遺留分権利者は、兄弟姉妹を除く相続人、すなわち、配偶者、子、直系尊属です。
遺留分の割合はまず、誰が相続人になるかによって相続財産に対する遺留分全体の割合が決められ、相続人が数人あるときは、法定相続分の割合によって一人一人の遺留分が算定されます。
遺留分全体の割合は次のとおりです。
①子だけが相続人である場合は2分の1
②子と配偶者が相続人である場合は2分の1
③直系尊属(父母、祖父母など)だけが相続人である場合は3分の1
④直系尊属と配偶者だけが相続人である場合は2分の1
⑤配偶者だけが相続人である場合は2分の1
⑥配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合は、配偶者についてだけ2分の1
以上により、例えば①の場合で子が3人いるときは、各自の遺留分は6分の1になります。

「遺留分減殺請求権」

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被相続人の行った生前贈与または遺贈が遺留分を侵害する場合、遺留分権利者は生前贈与をうけた者や遺贈をうけた者に対して、財産の取戻しを請求することができます。これを遺留分減殺請求権といいます。
減殺請求をするには順序があります。生前贈与より先に遺贈に対し減殺請求をし、それでも不足するときは、生前贈与のうち新しいものから順次減殺請求をすることになっています。
遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続を開始したことと、減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから、1年以内に請求しないと、時効により消滅してしまいます。

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